大本営参謀の情報戦記―情報なき国家の悲劇 (文春文庫)

ボチボチ本を読んでおります。

あらすじ

「太平洋各地での玉砕と敗戦の悲劇は、日本軍が事前の情報収集・解析を軽視したところに起因している」―太平洋戦中は大本営情報参謀として米軍の作戦を次々と予測的中させて名を馳せ、戦後は自衛隊統幕情報室長を務めたプロ・堀栄三が、その稀有な体験を回顧し、情報に疎い日本の組織の“構造的欠陥”を剔抉する。

感想

もともとネットで評判のいい、第二次大戦の本だったので、読んでみました。正直、今年読んだ中で、1,2を争う面白さ!具体的に面白かった部分を簡単に列挙すると、こんな感じ。

・第二次大戦、陸軍は対ソ連に特化していて、対米戦はほとんど調べてなかった。
・「マッカーサー参謀」と言われるほど、米軍の戦略を予測する名参謀がいたという事実。
・米軍の「オリンピック作戦」など、九州、関東相模湾から進行する予定だった本土上陸作戦をほぼ完璧に予測。戦後あんまりにも完璧に予測されていたのでアメリカは自軍のスパイを疑い狼狽しまくったw
アメリカのラジオで流れてくるNY市場の株価を全て記録し、製薬会社と缶詰会社の株価が上がると米軍が進行する法則を見つけるw 名将すぎるw
・B29の暗号はさっぱり分からなかったが、飛び立つときの「了解」の数で敵軍の数を把握。また故障や撃墜でパニクって暗号なしで通信したヤツの無線から、米軍の損害や部隊の規模をほぼ正確に把握したw
・一機だけ単独で行動し、ワシントンと無線する怪しいB29の存在を把握していたが、これが原爆だとはさすがに見抜けず。日本に陸海軍や外務省など情報を全て統括するアメリカのNSAのような存在があればと悔やんだ。なお現在の日本にも情報を全ての統括する部門はない模様。
・戦後は自衛隊に入り、ドイツに滞在し諜報活動。普段はドイツ政府内の人間から情報が普通に共有されるも、有事の危機がせまると全く情報が入らなくなり、結局自力で情報を探すしかなくなり、苦労したという。
・一番やばかったのはキューバ危機。第三次世界大戦の可能性が出てきて、情報は全く入らなくなった。この時、まず米軍基地そばの川沿いのレストランのオーナーに頼んで、川を行き来するタンカーの数と沈み具合を計測してもらう。行きのタンカーは満タンで重いから沈んでいて、帰りのタンカーは軽いから浮いてるらしい。その数が多い=有事の可能性が高い。なんという名推理w
・また、ドイツ軍の息子がいる知人達に息子の休暇予定を聞きまわって、それらが相次いでキャンセルされた点などから、戦争の危機を察知したという。なんという名探偵w

ってことで、ざっと挙げただけでもこれだけありましたw 単純な戦争の本ってだけじゃなくて、かなり面白くためになりましたわ。情報化社会な現代により当てはまるね。

「本当に欲しい情報は決して表に出てこない」

という格言は戦争だけでなく、我々の日常全てに言えること。野球やら、株でもよくあてはまりますなぁ。一つの情報に固執せず、幅広い情報から、正しい情報を推測するってとっても大事。

いやぁ、この本は何度かちゃんと読み返しておきたくなるおすすめの本でした!

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